シャーロック・ホームズ/マイマイ新子と千年の魔法

シャーロック・ホームズ:★★★
コナン・ドイルというと個人的にはホームズの作者というよりもコッティングリーの妖精事件のイメージの方が強いのである。というのもロジカルなホームズの作者が、完全にビリーバーになっちゃってるという構図が非常に皮肉に感じたからなのだ。妖精事件に限らず、コナン・ドイルは交霊会に出席してたり、神秘主義的なものに傾倒していたりで、実はホームズの人物像とはおおよそかけ離れた非論理的な人なのだな、と思っていた次第。まあ創作物は作者の分身でないのは当たり前のことなのだけど。
で、今回の映画、黒魔術というおおよそホームズの物語とはかけはなれた題材をあつかっていながら、最後ロジカルにオチをつけるところが、ホームズ/コナン・ドイルのロジック/神秘主義の構図を思わせて、これは意図的なものだとしたら非常に計算されたものだと興味深く見られた。
ただ、その謎解きが「ダ・ヴィンチ・コード」ばりの主人公だけが全部わかってて勢いだけで回答を出すという、ミステリーとしてはフェアでないところが残念。


マイマイ新子と千年の魔法:★★★
アニメ系サイトでは大絶賛されていたので期待して渋谷のシネマアンジェリカまでいったのだけど、ちょっと期待値を高くしすぎたかな?あるいは自分の物語を理解する能力が低すぎるのか。
現代と千年前を結ぶものが見える新子と、それがない東京もんの貴伊子の交流の話。だから物語の最後で貴伊子に新子と同じものが見えるようになるのは作劇上正しいのだと思うのだけど、だからといって1000年前に実際に行って友達ができるところまで見せちゃうのはなんか違うような気がするのだが。そもそも千年前の子のエピソードが完全に浮いているのではないだろうか。これがなくても、「いっぱい遊んで立派な大人になる」というメッセージは十分に伝わるし、大人の都合に子供の世界がつぶされて、またそれを乗り越えるという話は成り立っていたと思うのだけど。
百合っぽ展開でロリがキャッキャウフフというのがお好きな人にはお勧めかもしれないけれど、残念ながら自分の味覚は違うものを求めていたのかもしれない。