プレシャス/タイタンの戦い/いばらの王

映画鑑賞中に時計をちら見することが多くなったのは病気のせいなのか?こらえ性がなくなったのか?単純に映画がつまらないのか?と考えることしばし。


プレシャス:★★★☆
「貧すれば鈍す」という日本のことわざが如何に正しいかまざまざとスクリーンで見せつけられる強烈な作品。父親に犯され母親に虐待され退学扱いと不幸のつるべ落としで、日本だったら「それなんっていうケータイ小説?」で済まされちゃいそうな話が、舞台をハーレムに移して主人公を黒人にしただけでリアルに感じてしまうのは人種差別的な意識なのかな?と考えてしまう。
母親がプレシャスを虐待する理由に女の業の深さを見出すも、その動機がかえって母親にわずかな人間性を与えてしまって、ある種映画的に「かわいそうな人」になってしまったかもしれない。ここは『愛を乞うひと』級の鬼母を突っ走ってほしかったところ。


タイタンの戦い(2D字幕):★★
ゼウスも人間もただひたすらにわがままで、ハデスが一番まとも(少なくともあれだけのことをしても許されるぐらいひどい目にはあってるので)に見えてしまうのは問題なんではなかろうか、内容的に。まぁゼウスが好色なのは百も承知だが。仲間のキャラが全然立ってなくて、単調なRPGを横から見せれているような気分。「人間として戦う」と言っておいて最後はゼウスからもらった剣を使っちゃうあたりペルセウスアイデンティティの問題がおざなり。


いばらの王:★★☆
監督が「ビッグオー」の片山一良ということを公開直前になって知ったのであわてて観に行ったらちょいと期待外れだった一本。
身体が石化するメデューサという病気が世界中で流行して、その治療法が発明されるまで160人の人間をコールドスリープさせて、目が覚めたら大変なことになってましたよという終末SF。
要はクライトンのアレと元ネタのアレをくっつてシャマランのアレにアレンジ加えた話なんだけど、トラウマのある人間が被験者に選ばれたとしたら随分とチンケなトラウマだなーと思ったよ。
問題の病気に関する話題は置いておいて、物語は主人公のメガネっ娘アイデンティティに焦点がしぼられていくあたり、いまだに精神世界の狭い話か!と時計を見てしまった。エヴァはもうそのトラックを乗り越えちゃって次のステージに行っちゃってるのに。
アメリカの介入の話も半端で落ちはないし、病気がその後世界に及ぼした影響も言及されず、なんかいろいろと中途半端な作品。