トイ・ストーリー3/必死剣 鳥刺し

トイ・ストーリー3(3D吹替):★★★☆
手違いで他人のものになったおもちゃたちが持ち主のところに帰ろうとする活劇(1)と捨てられるおもちゃの悲哀(2)、と基本的なプロットは旧作2本のパッチワーク。別にそれが悪いとは言わない。この方法論は『ターミネーター3』でも使われてたもので、使い方次第では非常に有効なので。で、本作品では非常に有効に働いていた。なぜなら最後に「おもちゃと持ち主にとって最良の環境とは何か?」という選択肢を提示しているところがオリジナルだから。
「親離れ」のメタファーとして「おもちゃ離れ」が描かれている。これは2作目のいつまでたってもおもちゃを集め続けるコレクターと対立項をなすので、アンディにとっておもちゃ離れ(=親離れ、自立)というのは(この映画のコンテクストでは)最良のものなのだけど、おもちゃたちにとっては「捨てられる」という問題が棚上げになっただけなのではないかな、と思ったり。この選択をしたところで、同じ問題に数年後再度直面しなければならないのだから。


必死剣 鳥刺し:★★★
最後の15分が『子連れ狼』かくやのスプラッシャー時代劇に変貌するのだけど、そこにいたるまでの抑制が長すぎたような気が。豊川悦司演じる侍が剣の達人であることをしめすエピソードが鳥をとりもちで捕まえる「鳥刺し」だけというのはいかにも華がない。『たそがれ清兵衛』のように前半に剣の腕を見せる殺陣がほしかった。
侍であるということは忍耐を強いられるということである。だから必殺の剣はその忍耐を超えた、ギリギリのシチュエーションでしか見せてはならない卑怯なものである、ということを示す「鳥刺し」の剣は見事だったけど、あれを会得するってことは何度か死にかけなければならんのではないかい?