NEXT/ネクスト

NEXT/ネクスト(NEXT)
★★★☆
監督:リー・タマホリ
原作:フィリップ・K・ディック
出演:ニコラス・ケイジ, ジュリアン・ムーア, ジェシカ・ビール

原作は人間が優位性を保つためにミュータント狩りをしている世界に現れた予知能力を持ったミュータントをめぐる物語で、今回の映画のように「2分間だけ先が読める」と限定はされていません。あと原作の『ゴールデンマン』というタイトルそのものにも意味があって、予知能力よりそちらのほうがオチの決め手になります。

常々ハリウッド俳優というのはすごいなぁと思うのですが、今回の映画に関してはこのオチ(注:原作とは全然関係ないです)を知った前提で真剣に演技しているんだからたいしたものです。だってバナナの皮に乗って滑って転ぶギャグを衆人環視の元でやれといわれているようなもんですよ。その中でアカデミー賞獲ってるニコラス・ケイジとオスカーノミネート常連なのに『フォーガットン』みたいなのにも出るジュリアン・ムーアが真剣に丁々発止のやり取りしてるんだから、後から考えたらおかしくておかしくて。

で、核がアメリカに持ち込まれてテロに使われそうだからあんた協力しなさいよ、と迫るジュリアン・ムーアとそんなの関係ないよと逃げるニコラス・ケイジジュリアン・ムーアが追っかけるぐらいだから相当のタマだろうニコラス・ケイジを追いかけるテロリストグループ。この関係がおかしく見られました。ニコラス・ケイジの身勝手さは妙にリアル。だってこの人、予知能力を小銭稼ぎとナンパにしかいかさないんですよ。『ジャンパー』も特殊能力が与えられたボンクラの話でしたが、犯罪に走らない分ニコちゃんの方が愛着がもてます。わずか2分しか予知できないのにジュリアン・ムーアはニコちゃんをあきらめません。それより地道に捜査しましょうよ。あんたクラリススターリングなんだからさ。この人のせいでテロリストはニコちゃんを狙います。ニコちゃん危うし!さあここから話がどう転がっていくんでしょうね?なんとあさっての方向に転がるんですよ。で、「そこで終わりかい!」というところで終わります。まさかの意外性。あー楽しかった。終盤の分裂して画面中ニコちゃんだらけも映像的に愉快愉快。

TOHOシネマズで映画を見ると映画が始まる前に鷹の爪団のマナーCMが流れるのですがその中で吉田くんが「同じ劇場に集まった時点で俺たちは映画が取り持つ仲間なんだぜ」と言いますが、これほど仲間意識を持てるラストもないかな、と。

以下ネタをちょっと割ります








で、問題のオチですが、実はこれちゃんとオープニングでジェシカ・ビールに関しては2分間ルールが除外されているという布石が打ってあるので反則ではないのですね。だから○○○・○○○○○やんけ!と怒るのは大人気ないことだと思います。あとこんなオチなので、テロ組織のバックボーンが全然描かれてないというのは野暮というものだと思います。