大決戦!超ウルトラ8兄弟

大決戦!超ウルトラ8兄弟
★★☆
監督:八木毅
脚本:長谷川圭一
出演: 長野博, つるの剛士, 吉岡毅志, 五十嵐隼士, 黒部進, 森次晃嗣, 団時朗, 高峰圭二

『帰りマン』スキーなので岸田森の写真には泣けるわけですが、脚本がひどすぎ。
ウルトラマンがフィクションとして存在する世界=われわれの世界に怪獣が出現して、並行世界の本当にウルトラマンが存在する世界からメビウスがやってくる。ここまではメタ的でワクワクさせるものがあって何の問題もないんですよ。ところが我々の世界のハヤタ他7人の人物たちは、あくまで別の並行世界でウルトラマンだったんだから、こちらの世界で、向こうの世界の記憶を持っているはずはないんですよ。だから「ウルトラの心を思い出す」といわれても無理な話。その辺を強引に押して、記憶がよみがえっただの、最後にはこちらの世界ではフィクションの存在でしかないビートル他戦闘機が登場するだのあいた口がふさがらないぞんざいな脚本。並行世界ものやりたかったら藤子・F・不二雄の『パラレル同窓会』でも読んで勉強しなおしてくれ。
1966年のウルトラマン初放送時の情景から映画が始まったり(注)、なつかしの人物(オープニングのナレーションがあの人であの台詞を言ってくれるというのはうれしいけどさ)をくすぐりで出して観客のノスタルジーを満足させて勝ちに持っていくって高齢ファン向け商品としては正しいのかも知れんけど一番安い勝ち方じゃないか?各ウルトラマンがそろう理由付けをちゃんとした上で、全員の見せ場を(音楽とともに)ここぞと用意した前作の志の高さがまるでなくて、「とりあえずこれやればマニアは喜ぶでしょ」というなぁなぁ主義が見え見えで期待はずれどころか少し腹が立ちました。でもウルトラマンが8人並んでるの見ると興奮しちゃうんだよ、やっぱり。そこがマニアの弱さなわけで、トホホ。

(注)でも1966年に小学校低学年となると、平成ウルトラマンの3人はもはや舞台となる現代ではオヤジ世代なわけでここでも矛盾が生じちゃってるんですな。それともこれは過去の話なの?