ウォンテッド

ウォンテッド(Wanted)
★★★★
監督:ティムール・ベクマンベトフ
音楽:ダニー・エルフマン
出演:アンジェリーナ・ジョリー, ジェームズ・マカヴォイ, モーガン・フリーマン, テレンス・スタンプ

役者の貯金というものについて考えさせられました。機織機が次の殺すべきターゲットを決めるというトンデモな設定も、モーガン・フリーマンが「これは運命だ」と言えば受け入れてしまう。こんな物語のほつれが役者の演技の貯金によって修繕されていくところがこの作品の魅力かと。それはアンジェリーナ・ジョリーも同じで、素質があるとはいえいままでヘナチョコなサラリーマンだった主人公がわずか数日で凄腕の殺し屋になって、それに違和感がないのは、アンジェリーナ・ジョリーがボコボコにいたぶるから。これも役者アンジェリーナ・ジョリーの姉御貯金があってのこと。
物語的には小理屈を全部取っ払った『マトリックス』。ヘナチョコサラリーマンが実は凄腕の殺し屋なんだよ、とまさにオタクの妄想の具現化としか言いようがない。カーチェイスシーンでサングラスかけようとして「やっぱやめとこ」とジェームズ・マカヴォイが言うところは明らかなサインだと思う。
アクション映画としては『マトリックス』『リベリオン』ときて、さらに新しい境地に達したかな、という感じで、穴だらけの脚本を見事にふさいでます。
結論としてモーガン・フリーマンの持ってる善性を使い切った怪作でした。