マイケル・クライトン死去

あまりに突然の訃報なのでビックリなのですが、マイケル・クライトンが11月4日に亡くなったそうです。享年66歳。あまりにも早すぎる死に言葉も出ません。
元々本は読むほうだったのですが、大人の小説を読むきっかけを与えてくれたのがクライトンの『ジュラシック・パーク』でした。以降『緊急の場合は』を手始めに『スフィア』『失われた黄金都市』『アンドロメダ病原体』『サンディエゴの十二時間』『ターミナルマン』『北人伝説』と旧作を読んで、『ライジングサン』でズッコケて、というような感じで、クライトンはグリシャムやキングと同じくらい自分の読書体験にとっては重要な作家であったので非常にショックです。
ちなみに自分が一番すきなのは『スフィア -球体-』だったりします。もちろんモトネタがアノ映画で、物体の正体はアノ映画のアレというのは知った上で、ですが、クライトンお得意のスペシャリスト達が集まって一つの事象に取り掛かるというスタイルが完成されていて、ラストも不思議とさわやかな一篇だったかと思います。映画版も世間が言うほど悪いデキではないと思うんですけど。
クライトンの作風は最新の話題や科学ネタをウンチク的に物語に組み込んでいくというものだったので、そのウンチクを全て取っ払った『ジュラシック・パーク』は映画と言う見世物としては成功だったかもしれませんが、クライトンのウンチク小説の映画化としてはどんなもんだろうか、と思ったりもします。とまれ、こういうスタイルが文庫化の際、バリバリのSFである『ジュラシック・パーク』シリーズや『スフィア』『タイムライン』なんかがハヤカワの青背じゃなくて白背だった理由なのではないか、と思うわけです。SFというよりも教養小説に近い感じでしょうか(語義的に「教養小説」というのは不適切ですが)。
『サンディエゴの十二時間』はクライトン自身が監督して音楽は盟友のジェリー・ゴールドスミスを迎えて『暗殺・サンディエゴの熱い日』のタイトルでTV映画化されてますが、これを機にDVD化されないもんですかね。
仲の良かったゴールドスミスと一緒に今頃は天国でリチャード・ドナーの悪口でも言っているんでしょうか(笑)。供養に実質クライトン監督作となった『13ウォーリアーズ』でも見ることにします。

ところで『エア・フレーム』をシガニー・ウィーバーで映画化って話は完全になしになったの?