今週の映画

櫻の園 -さくらのその-:★★
犬神家の一族』と同じく、中原俊によるセルフリメイクのため、旧作と同じ脚本を使うのかと思い込んでいたので、バイオリンコンクールから始まってビックシ。何で主人公はバイオリンの道を絶ったのでしょうか?動機の不在。だから後半『桜の園』を「私、こっちでしっかりやりたいの」と言う台詞が浮いています。オリジナルの優れた群像劇は主人公が特定化された反体制の安っぽいケータイドラマになってしまいました(妊娠とか自殺とかの扱いの軽さよ)。前作の美しく繊細な絶妙なバランスの上に成り立っていた内側に向いたドラマは、感情表現の乏しい外側を向いた空虚なドラマになってしまいました。百合色も薄まってこれまた減点。

センター・オブ・ジ・アース3D:★★★
ワーナーマイカル系のリアルD方式で鑑賞。これはクセになりますね。立体感が赤青メガネの頃に比べると格段に違う。DVDやホームシアターの普及で映画館に足を運ぶ付加価値が薄れている昨今、映画館でしか体験できない3D映画と言うのは、今後の映画の大きなパラダイムシフトを担っているのではないでしょうか。
物語そのものは『地底探検』が本当だったというディックの『水蜘蛛計画』みたいな話で単調なものですが、視覚に与えられる情報量が莫大なのでむしろこれで正解。

GSワンダーランド:★★★
若本規夫の予告にひっぱられてみてしまいました。『少女少年』や『絶対アイドル』の男女逆転版ですね。オープニング、栗山千明が見上げる日劇のショットが、映像のために物語があるのではなく、物語のために映像があることを雄弁に語っていてカッコイイ!(映像のために物語がある『ALWAYS 三丁目の夕日』は好きじゃないんで)。岸辺一徳がGSの売り出しに頭悩ませた挙句アカペラでGS歌うと言う小宇宙。SFですね(@みうらじゅん)。音楽シーンの変化と当時の熱狂が伝わってきて、当時の映画が好きな人間でも楽しめました。