最近の映画

続けて観た映画に同じ役者でるとちょっとビックリしません?今回は立て続けにテレンス・スタンプが出てました。この人の言うことを真に受けるとロクな目に合わないという結論。


イエスマン:★★☆
ヒューマニズムあふれる映画に出て演技派目指すのはもっと歳取ってからでよかったんだよ!なんでもっとくだらない(注:褒め言葉である)コメディに出ておかなかったか!とちょっと取り乱してしまいました。それぐらいにジム・キャリーの顔に見えた老いにショックを受けたからです。
どんなことに対しても「イエス」と答える、さもないとヒドいめにあう、というシチュエーションは、どんな状況でも本当のことしか言えない『ライアー・ライアー』のシチュエーションを思い出させます。シチュエーションが似ているだけに、『ライアー・ライアー』の頃ならば間違いなくキマっていた十八番の百面相演技に、無理をしているシワが入っているのを見つけると、ついジム・キャリーが歳をとったという事実を認識してしまい、笑えなくなってしまいます。ついにジム・キャリーはコメディアンとしての峠を越えてしまった、その瞬間を目撃したような気分です。『ライアー・ライアー』と同じく映画の面白さの大部分をジム・キャリーの百面相コメディアンとしての才覚に頼っている作品なので、肝心のジム・キャリーに映画を引っ張る力がないため笑いがはじけない結果になってしまいました。脚本の点では、もっと無茶な状況で「イエス」と言わせる必要もあったんじゃないかなぁ。なんでもイエスといった結果テロリスト扱いされるというギャグはブラックで好きだけど。ズーイー・デシャネルは要求された不思議ちゃんを要求どおり演じているので何かともったいない映画。


ワルキューレ:★★★
「チョビヒゲのあのドイツ親父がヒトラーである」ということを字幕で説明しなければならないほど日本人の観客の知性は衰えてしまったのか!という点でショックだった作品。『フロスト×ニクソン』もそうだったけど、東宝東和はこれからは歴史ものの映画には必ず人物字幕入れる方向で話が進んでるのかね?
ヒトラーの暗殺も重要だが、それよりももっと重要なのはその後の体制の掌握をいかに迅速に行いSSやゲシュタポを出しぬけるか、という点が「ワルキューレ作戦」の面白いところだと思った(爆弾による暗殺事件そのものは水木しげるの『劇画ヒットラー』で言及されているので知っていたのだけど、暗殺をもってして「ワルキューレ作戦」だと思い込んでいたので)。ヒトラーを殺しただけで世の中変わると思ってたおめでたい人間がいたというのも驚き。ただ、失敗することを予め知っている以上正攻法で演出されてもサスペンスは盛り上がらないのである。同じく結末を知っているはずなのにハラハラさせられた『ユナイテッド93』とはそこが違う。
それから主人公の「ドイツという国を守る」という信念の描き方が薄っぺらい。彼にとって何をもってして正しいドイツといわしめたのか、その像が見えてこない。その描かない部分をトム・クルーズのスターパワーで補おうとしたのかもしれないけど、この映画はそういう映画にしてはいかんのではないかな。


相棒シリーズ 米沢守の事件簿:★★☆
導入部があまりにも不自然。別れた女房にそっくりな女をたまたま主人公が見つけてその女が殺されるってどんだけの確率だ?話もスケールの小さなものでTVでやれ、というレベル。そもそも主人公は鑑識なんだから、その職業の特質を活かした物語を組み立てるのがスジってもんじゃないの?(『CSI』やれ!とは言わんが。)この話だったら何も米沢守という鑑識が主人公である必要性はないでしょ(いつもの二人が主人公でも問題ない)。