邦画2本

クレヨンしんちゃん　オタケベ！カスカベ野生王国：★★☆
監督が本郷監督からしぎのあきらにバトンタッチ。本郷監督で続ければまた以前の調子に戻ったのに、と残念。とはいえ、しぎの監督はＴＶシリーズの初期から絵コンテ担当だそうなので少なからず期待はしていたのだが・・・。うーん、映画本編の前に『ヱヴァンゲリヲン新劇場版：破』の特報が流れていたのだが、この1分弱の映像を超えるアニメーションの面白さを感じさせる動きのエモーションがなかった。比較対象が間違ってる？いや、『オトナ帝国の逆襲』のラストのタワーを駆け上がるシーンのエモーションはアニメの動きの感動を最大限に伝えるものだったぞ。
脚本自体もイマイチ。エコテロリストの対立項（今までのパターンでいうしんちゃんの味方側）が浪費家って、これじゃどちらにも共感できないんで感情の置き所が困る。オチもくだらないが、これは「悪い」くだらない（『温泉わくわく』は「よい」くだらない、である）。作中でツッコミが入ってたけど、それが人類規模の動物化につながる理由が理解できん。論理が何足か飛びしちゃってる。それからかすかべが動物化しているときに何で当事者はパニックに陥ってないんだ？みさえとひろしの時は驚いてたでしょ。こういうツメの甘さが気になるのだ。

ＧＯＥＭＯＮ：★★★
案の定世評はキビシイですが、『ＣＡＳＳＨＥＲＮ』よりうまくなってるんじゃないの？（『ＣＡＳＳＨＥＲＮ』も★★★だけどね）だって「戦争をやめて平和な世界を」という前作と同じ青臭いテーマの語りなおしだけど尺は20分近く短くなってるんだから。戦国時代が舞台だけれども完全にキリヤワールドになっていて、もはやＳＦの域に入ってます（というとＳＦの人から石投げられるな）。日本映画で、大作で、自分の世界観を妥協せずに作り出せるということはそうそうできることではないので、主人公のパワーバランスのアンバランス具合（あんたそんな戦国無双状態の力あるんならアイツ助けられるやろ！とかね）や、自由の概念のあいまいさなどは薄眼で見てあげたくなります。アクションやＣＧがゲーム的という批判があるけど、別にいいじゃん。たくさんある邦画の中の一本にこういう変わり種があったって。むしろここまで作り物の映像が徹底していると気持ち良いぐらいだよ。なんだかんだ言われるだろうけど、これからも撮り続けろ。そうすればもっと上手くなるはず。でも同じテーマはいい加減やめてね。