6月の洋画

レスラー:★★★
世の中がプロレスに愛着を持たず、大人げないものとして扱うムードになった時代に物心ついた人間なので、その期待とは裏腹に肩透かしを食らった気分になりました。基本的には『ロッキー・ザ・ファイナル』と同じ話なのだと思います(役者と役柄が重なっているという点でも共通)。ただ、ロッキーがリングを離れても待ってくれている人がいるのとは対称的に、肉体が悲鳴を上げているにもかかわらず、リングの上にしか自分の居場所を見つけられず、リングの外に彼を待ってくれる人がいないミッキー・ローク演じるレスラーの姿は非常に残酷なものに感じました。背中をとらえるショットが多いです。それまでその背に抱えてきた声援が、今はもう無く、軽くなってしまったかのようでした。


トランスフォーマー:リベンジ:★★★☆
『レスラー』が★★★でマイケル・ベイの作品がそれより評価高いってどうなのよ?と思わんでもないですが、これは世代の問題なのでしょうがない。初代アニメ直撃世代にとっては、メガトロン様がスタースクリームに「貴様!私がいない間に何をしておった!」(加藤精三ボイスに脳内変換)と説教するシーンを見ると監督の「わかってる」感が伝わってうれしくなってしまうのです。宇宙人が地球人視点でものを考えるバカさ(あるものの位置を示す伝承の内容)加減もトランスフォーマーならアリでしょう。
前作以上に圧倒的な映像の力でほぼ「無い」に等しい物語が「ある」かのように見えてしまうところがすごいです。アクションのためのアクションなのに、それが空虚ではない。むしろもっと見せて!となる映像の麻薬。とにかくロボットが自由自在に動き返信する、それだけで一本の映画として成立させてしまってます。


レイチェルの結婚:★★☆
全く付き合いのない人の結婚パーティーに足を踏み入れてしまったような感じ。パーティーシーンが中心で、そこにはほとんど物語がない。ところがアン・ハサウェイ演じるレイチェルの妹の爆弾ぶりが発揮されると突然物語が生まれるという構成。なのでパーティーシーンが長いということは物語がほとんどない映画だということ。些細なことから家族の過去が浮かび上がる構成はうまいものの(皿洗い競争のシーンなどに顕著)、前述のとおり物語がほとんどなく他人様のパーティーをただただ見せられるだけの映画なので正直退屈。母親との対立の解決はあっさりしすぎだろう。


愛を読む人:★★★☆
めぐりあう時間たち』のダルドリー監督らしく時間の操作が巧み。物語の始まりとその後の展開がまるで違っていてビックリ。ドイツ人の仕事の律義さがケイト・ウィンスレットの過去にもレイフ・ファインズの「愛の行為」にも表れていると思うがどうか?ケイト・ウィンスレットがある「秘密」を終始隠し続けたのは本当に恥の気持からなのか?そこをあいまいにしたのはずるいよ。それとも○○○○にも劣ることが明らかになるのが嫌だったからなのか?と邪推してしまう。


路上のソリスト:★★☆
感動する気満々で見に行ったのにスクリーンに映し出されたのはロバート・ダウニー・Jr演じる新聞記者の思い上がりで辟易。実話ならしょうがないけど、こんな実話なら映画化するなと言いたい。記者としてコラム記事の「ネタ」として興味を持った対象(ジェイミー・フォックス)を勝手に自分の思い描いた理想像につくりかえようとして、それが失敗したから友達になったつもりでいるというブン屋の上から視線には我慢ならん。


ターミネーター4:★★★
うーん・・・、『T3』はSFとしての整合性はあったし、アクションの見せ場も重みもしっかりあったのに対して、今作はターミネーターという作品である必要が感じられませんでした。ただの終末アクション大作になり下がってしまったかな、と。アレが出てきた驚きでオマケの★★★。
・・・というかこの映画の直後に『ヱヴァ:破』を見たので、全然印象に残ってないんですな、本当のところを言うと(笑)。