映画初め2010:ワンピース STRONG WORLD

毎年恒例の映画初め。今年は年明け早々告白して玉砕したので、家でのDVD鑑賞はせず。劇場で3日に映画初め。で、何を見たかというと...

ワンピース STRONG WORLD:★★☆
監督:境宗久
製作総指揮&原作:尾田栄一郎
脚本: 上坂浩彦

原作は1巻しか読んだことなくて、アニメも細田監督の『オマツリ男爵と秘密の島』しか見たことがありません。原作派の人間には『オマツリ男爵』は不評ですが(現に自分の友人は非常にネガティブな反応をしてた)、個人的にはあの映画は細田監督の作家性がシリーズものの商業作品という制約があるにもかかわず発揮されてスタンドアローンな作品として十分に楽しめるものでした(それは例えば『ビューティフル・ドリーマー』が『うる星やつら』というシリーズの中でも独立して存在しているように)。作画もちょっと違いましたね。
『STRONG WORLD』と『オマツリ男爵』は仲間の崩壊と再生という点で似たテーマなのですが、『STRONG WORLD』は絶対の仲間の絆が壊れるという恐怖感は最後までなく、逆に絶対に壊れないものとして描かれていた点で、ある意味非常にジャンプ的だと思いました(その対立項にあるので『オマツリ男爵』は非常に怖く、また最後にカタルシスがあるのだと思うのですが)。
こういう言葉を使うのは気がひけますが、やはり今回はお金を使った子供漫画映画の域を超えていないと思います。それは例えば作家性がまったく感じられないところや、脚本の弱さ(20年間の計画がほったらかしのダイナマイトで全部パーになる筋のデタラメさよ)が原因として挙げられますが、何より、登場人物たちが直情的すぎる。怒るときは怒ったという演技をし、悲しい時は悲しいという演技をする(あるいはそういう演出をする)。複雑な感情、微妙な機微というものが欠如しているように感ぜられました。それはあるいは万人性を狙ったが故のものなのでしょうが(事実ボックスオフィスで『相棒』超えペースというとんでもない数字を叩き出してる)、日本の観客ってそんなに単純なものとしてとらえられているの?と悲しくなってしまいました。あるいは笑いのとり方が非常に今日的な胆略的なボケとツッコミで、今の人はこういう笑いが好きなんだ、と距離をとってしまいました。
予告の作り方は非常にうまい作品だと思いましたよ。でもそれだけです。