ソルト/小さな命が呼ぶとき/ハングオーバー

ソルト:★★★
脚本がカート・ウィマー。『リベリオン』の監督・脚本のカート・ウィマーであると同時に、『リクルート』の脚本のカート・ウィマーであるのだよ。期待と同時に胸騒ぎもするのは自然な反応ではないだろうか。何しろ『リクルート』はオチが「アル・パチーノが悪人でした」かその逆しかあり得ない完全な二択というミステリーとしては相当に不自由な作品であったので。「お前がロシアのスパイだ」と言われて始まる本作品、やはり同じ轍を踏むのかな、と不安になるのも当然でしょうよ。
そーいう自然な反応をする人はあいやご安心なされ。二択のオチから斜め上を行く展開になっているので。でも問題なのは、そういうことならどうして「お前がロシアのスパイだ」と言いにくるのかね。
『ボーン・スプリマシー』にノンクレジットで参加してたブライアン・ヘルゲランドがこれまたノンクレジットで脚色に加わってるため手作り爆弾のくだりや車飛び移りとかジェイソン・ボーン的。監督は『ボーン・コレクター』以来、メジャー作品久々登板のフィリップ・ノイス。カート・ウィマーはとりあえずガン=カタシリーズの脚本に専念してはどうか?


小さな命が呼ぶとき:★★★
難病にかかった子供の命を助けたい一心で対人関係に問題アリの学者と一緒に薬品メーカーを立ち上げる奇跡の物語。『ロレンヅォのオイル』ものです。いたずらに患者である子供の弱さを見せることで感動させるのではなく、ユーモアを交えることで逆に感動的にさせてる佳作。
ブレンダン・フレイザーハリソン・フォードというキャストを見た100人が100人思うであろう「その二人使えるんならハムナプトラインディ・ジョーンズのクロスオーバーやれよ!」という疑問に応えるほどの作品ではないのが問題。年代的にも微妙にあうんだしやったらいいのに(首を縦に振らない監督とプロデューサーがいるのは百も承知)。


ハングオーバー:★★★
これがゴールデングローブ賞なら『ゾルタン星人』はアカデミー賞もんだな、と思った。アメリカで何の前知識もなく観た『ゾルタン星人』は『ハングオーバー』の百倍笑えた。同じ設定(二日酔いで目覚めたら大切なものがなくなってる)で、あちらは本当に予想のつかない結末まで持ってってくれたぞ(邦題はそれをわっちゃってるのでいかん)。って『ハングオーバー』の話であった。えー、こちらは展開がまだまだ常識的な範囲におさまっちゃって、ギャグは小中学生レベルで下品なだけで大笑いできるほどではない。見た環境が悪かったのかな?アメリカ人とみれば違うのか。
前評判の高さというのは、特にコメディにおいては「これから面白い話をします」と言った後にする話と同じぐらいハードルが高い、と思った次第。