追悼今敏

アニメーション監督の今敏が亡くなられたそうである。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100825-00000003-oric-ent
ブログ上で「インセプション」に毒づいていたり(確かに「パプリカ」を事前に観た上で予告だけ見ると類似性は考えるのは道理だけど)、「夢見る機械」のラッシュの話がツイッターで書かれていたので、まだまだ元気にこれからのアニメ産業を支える三本柱(あとの二本は原恵一細田守である)となると思っていたので、ショックが大きい。個人的には宮崎駿の後でアカデミー賞のアニメ部門を日本人で獲得するのはこの人だと思っていたのでショックはさらに大きい。
リアリズムの原恵一とSF思考の細田守に対して、今敏監督は現実と非現実のあいまいな線引きということに強いこだわりを持っていたと思う。それは初監督作品の「パーフェクトブルー」からまさにそうで、「千年女優」はそのテーマが如実に表れていた上に映像表現でも非常にチャレンジングな作品だった。その次の「東京ゴッドファーザーズ」はややリアリズムよりの内容にはなったものの、リアリズムが非現実的に飛び越える一瞬を見事にとらえた大傑作だった。「パプリカ」はまた夢と現の間を行ったり来たりしていたけど、次作として予定されていた「夢見る機械」というタイトルを見るに、その路線はさらに深いところに行くのではなかったのかな、と思わざるを得ない。
船頭をなくした「夢見る機械」がどこに向かうのかは分からないけれど、その志を引き継いでぜひとも完成させてもらいたいものである。
追悼で明日はイギリスから取り寄せた「パプリカ」のDVDを鑑賞する予定。これも虫の知らせというものだろうか。