カラフル/キャッツ&ドッグス 史上最大の肉球大戦争

カラフル:★★★
原恵一の新作とあっては期待のハードルはいやがおうにも高まるというものですが、ちょっとあげすぎた。スマン。
人はただ生きているだけでも誰かの支えになる存在であるし、誰かに愛されている。だから自分から死ぬなんてやめなさいよ、という非常に健全なお話。でも31年ライスクラッシャーとして生きてきた人間からすると、案外世の中そうでもない、と思ってしまうわけです。汚い大人でスマン。
映画の空気がとても重い。それは自殺した少年の体を借りた魂の母親に対する態度や、少年を取り巻く環境のせいなんだけど、後半彼が親友(本当にいいやつなんだ)を得て日常に幸せを見つけていく部分に対して、前半の鬱描写が長すぎたか。母親が気の毒に思えてくるほど。
児童文学が原作らしいのだけど、それに援助交際女子学生の描写はキツすぎないか、と思ったり。
「一緒に同じものを食べてこそ家族である」というテーマは去年の『ヱヴァ:破』『サマーウォーズ』から連なるもの。家族の深まりが最高潮になったとき初めて食事を共にする主人公の姿に涙が。


キャッツ&ドッグス 史上最大の肉球大戦争(3D吹替):★★☆
「ブラッカイマーはんところの動物スパイ映画がうまいこと儲かってるやなぁ。そういえばうちにも似たような映画なかったかいのぉ。3Dで仕込んどけばうまいこといきはるんとちゃいますか」
去年の『スパイアニマルGフォース』のヒットを横目に老舗のワーナーさんが10年近く埃かぶったまんまの続編企画にようやく着手してあわてて作った(に違いない)のが本作品。棚上げになってた続編がこういう形で作られるとは思いもしなかったよ。
内容は前作から毒気を抜いて何も足さなかったような出来。3Dも画面が薄暗くなるだけでまったく飛び出さない。007調のオープニングとレクター博士になったMr.ティングルスだけ笑えたが、声は前作の山路のまんまにしといてくれよ。
前作はその年のベスト10に入れるぐらい好きだったので非常に残念。